MT-09ってどんなバイク?

当店のMT-09の試乗車はみなさまに本当の姿を体感戴く為、慣らし運転を終えてからご提供します。
準備が整うまでお待ちください。

その準備として先日、休み1日をフル活用し、夜から昼まで走り通し慣らしを強行。
その中で感じたことを、つたない文章で綴らせていただきます。
挨拶が遅れました。新人の 山口 です。これからちょくちょくブログを担当させて頂きます。よろしくお願いします。



さて、慣らしは川口からスタートし、一路秩父方面へ。

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慣らし運転ということで、とりあえず4000rpm以下で走ります。
まず街中でのMTですが、評判どおりの足つき性の良さがストップ&ゴーの多いシチュエーションでは有利に感じました。

ライディングポジションはFZ-1等のいわゆるスポーツネイキッドよりスタンダードなネイキッドに近いポジション。ハンドル幅がありますが、タンク長が思ったほど無い為か。あるいは着座位置の自由度があるシート形状によるものかも。



国道299号を進み、十国峠が(やはり)通行止めだったので群馬・方面へ。
気温がどんどん下がり、気づけば氷点下。

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このメーター、小さいわりに機能はしっかりしています。
燃費計なんて機能もあります。

右下の緑のランプはETCのインジケーターです。
おそらく当店お買い上げの車両のETCは、このような取り付けになるかと思います。



途中コンビニで暖をとり、なんとか探し出したGSでガスを補給。
本当は下道で諏訪湖辺りまで行き、朝を迎える予定でしたが、断念。
近くの佐久北ICより高速へ。

速度は6速4000rpmで大体100km/h。
プラスマイナス500rpm程度の幅を使いながら、ひたすら夜の高速を走ります。

暗く、コーナーが多く上信越道では特に、ハイビームを多用すると思います。
MTのヘッドライトはLow側では割と近くを照らし、Hiはかなり遠くを照らしてくれます。
特にハイビームは優秀で、体感では車のハイビームに匹敵する明るさに感じました。
他社がLEDヘッドランプを純正採用し始めた昨今ですが、やはりハロゲンもレンズ(リフレクタ)次第でまだまだ捨てたものでは無いな、と感じました。



1時間ほど走ると、夏グローブ+皮膚という舐めた装備(笑)の私の手はチリチリ痛みを感じ始めたのでピットイン。
梓川SAで30分ほど仮眠し、再スタート。

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空が白み始め、テンションも再びアップ。
しかし、未だに -2℃・・・・。



そらは明けれど、気温はあがらず。
そんなこんな数時間走り、長野道⇒中央道⇒東海環状道の鞍ヶ池PAで写真撮影を少々。

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そして、今回の慣らしで私が個人的に行きたかった場所、新東名へ。

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MTの高速巡航は良い意味で期待を裏切ってくれました。
ここまで600km以上走ってきて、疲れもかなり蓄積されている筈でしたが、寒さで凝った肩(私の癖です)以外はどこも健全です。
特筆すべきはお尻の痛みがほとんど無いということ。これは気づいた時にかなり驚いたことを覚えています。
冒頭で街乗りでは足つきがモノをいう旨のことを書きましたが、その代価として従来のバイクはシートの居住性を落とすことを余儀なくされてきました。
あるものはシート高を、あるものはシート幅を、あるものは中身を軟らかくし、この問題に取り組んだのだと思います。
ごらんになれば一目でお分かりになると思いますが、このMTのシートはかなり特殊な形をしています。

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タンク直下はかなり絞り込まれ、そこから倍以上広がり、テールライトまで緩やかに狭まっていきます。
この思い切った形状が、お尻の移動を許し、結果的に疲労を大幅に軽減してくれているに違いありません。

また、ハンドルも街乗りでは少々幅広に思えましたが、改めて風圧に耐えるべくしっかりとハンドルに手を添えると、いい具合の前傾姿勢になってくれます。そのままグリップをラフに握りシートぎりぎり前まで座り込めば、かなり楽なポジションにもなれます。

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ずっとシャーシの話をしていると、改めてMT-09って何者なんだ?と思ってしまいました。
足付性が高く長距離をものともしない居住性まで備えたシート、明るいライト。
シート下のスペースこそありませんが、ヘルメットホルダーだってついています。
これが各メディアが玄人向けのハイポテンシャルバイクだと言い切ったMTのもうひとつの顔だといえます。



では、いよいよ皆様が気になっているであろうエンジン・走行性能についてです。
慣らしを終えたMTで改めて、箱根の山を走ってまいりました。

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まずはエンジン。D-MODEを使い、"A"をセレクトし走行スタート。
4000rpmまでは滑らかなフィーリングで、5000rpmを超えていくとスロットルとが直結したような鋭いレスポンスになり10000rpmのパワーピークまで力強く吹け上げっていきます。
ただ、10000rpmまで回してしまうと公道では鋭すぎてライディングに集中し辛いですので、そこはやはり "Master of Torque" 、8500rpmのトルクピークを上手に使い走るのが、最高に気持ちいいと思います。

車体はとにかく軽く感じます。WR250X(R)をはじめて乗った時と同じ印象・・・車重を絞ったことに加え、マスの集中化を突き詰めたことがこの軽量感を作っているのだと思います。

サスはこの手のスポーツを意識させるバイクにしてはかなり動く設定。法定速度を守った走り(いつだってそうですよっ!)では小さなギャップやあまり意識しないラフなスロットル操作に対してしなやかに衝撃を受け止め、ストロークの奥のほうではしっかりトラクションがタイヤから地面まで伝わっているのをよく教えてくれます。
一方でタイヤを端まで使うような走行(もちろんアレは守ってますよ?!)ではあまり落ち着かない印象。ですが、セミアジャスタブルの前後足ですから、ここからは先はしかるべき場所でお好みのセッティングを探す楽しみがあるようです。

ステアリングはかなりナチュラル。セルフステアが思った程効かない為、街乗りでは肩筋張らず、峠では臨機応変な走り方を許してくれます。
しかしながらロードスポーツモデルとして走ろうとしたときに、この許容の大きさに違和感を覚えることも事実。
ハンドルが高いせいもあって、実際私は峠最初のコーナーで思わずモタード走りのように足が出てリーンアウトで走ってしまいました。
コンセプトとして"異種交配"を謳っているのでモタード走りはある意味正解かもしれません。

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逆に店長はハングオンというか、膝だしスタイル。
結果、倒しても起こしても駄目なら自然に任せれば・・・ということで、リーンウィズが一番しっくりきたのでした。

タイヤはこの個体はダンロップ製の(おそらくは)ROADSPORTS のOEM版 "D214"。
ブリジストン製の"S20"を装着する個体もあります。
このタイヤ、かなり好印象です。もともとスーパースポーツでの使い勝手を意識したQualifier IIの後継で、若干固めの印象だった先代に比べかなり軟らかい印象です。グリップ力もかなり見込めそうです。
少し意地悪なアクセルワークで滑らせてみると、ジワジワというかヌルヌル破綻していく感じで、限界をいち早くライダーに知らせてくれます。



総括すると、サスセッティングの見直しでかなり攻めのバイクに変身する、街乗りも十分こなすロードスポーツバイク・・・・といった感じでしょうか。うっかり触れ忘れましたがエンジン出力特性を変化させるD-MODEもこのマルチな才能を後押ししてくれます。
私個人的には、昔取った杵柄というか、腕に覚えはあるけど・・・そんなリターン(したい)ライダーさんにかっこよく乗っていただきたい、そんなバイクだと思いました。



おまけ。

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もちろんこうやってチャラく乗ることも。



燃費: 887.7km/45.72L=19.41km/L (慣らし走行時)



山口
つたない文章、最後までお読みいただき有難うございました。

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